ついに日本にもMaaS(マース)がやってきます。
「MaaS」が実現すると、未来の「移動手段」が革命的変化し、私たちの生活は便利で快適で夢のある日常を迎えられるかもしれません。
「MaaS便利」とか「MaaS夢がある」とか言うけど、そもそもMaaSってなに?
ってなりますよね?
今回はMaaSとは何か、MaaSが実現することで何がどうなるか、その辺を中心に詳しく紹介していきたいと思います。
「MaaS」ってなに?
まず、MaaSとは「Mobility as a Service」の頭文字を取って作られた言葉です。
直訳すると「サービスとしての移動」となりますが、これだけではイメージが湧きませんね。
将来的には定義が変わっているかもしれませんが、いまのところは「私たちの日常での移動が取っても便利になる仕組みなんだ!」という解釈で良いと思います。
MaaSによって移動が便利になるって?

移動が便利になるのはわかったけど、具体的にどんな風に便利になるの?
みなさんは日常的に電車やバス、タクシーなどを利用しながら目的地まで移動することが多いと思います。休日にはマイカーやレンタカーで旅行やショッピングなどもするでしょう。飛行機だって利用しますよね。
そんな中でもみなさんが良く使う電車ですが、ご存知のとおり日本各地に敷かれているレールは各鉄道会社が設置・管理をしています。そう、「各鉄道会社」が管理しているのです。
例えば、JRは1987年に国鉄が民営化され、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物、これら7つの会社に分割されました。地下鉄網も発達しましたが、これら地下鉄の路線も各鉄道会社それぞれで管理しています。そして今では当たり前のように利用している交通系ICカードも数多く誕生しました。

上図は2020年時点で日本国内で利用できるIC乗車カードの相関図ですが、相互利用できるものも多くなったものの、「交通のみ」や「片利用のみ」も数多く存在しています。
そうなるとユーザーの視点で思うことは、
「ひとつのカードですべてが利用できたらいいな。」
であり、もう少し言うなら、
「スマホアプリひとつですべての交通機関が利用できたらいいな。」
ではりませんかね?
そしてこの「スマホアプリひとつですべての交通機関が利用できたらいいな」を実現するのがMaaSなのです。
MaaSの実現により、鉄道以外にも様々な公共交通機関の利便性が大きく向上することが予想されます。
鉄道、バス、タクシー、レンタカー、レンタサイクル、飛行機など、あらゆる交通機関がスマホアプリひとつで予約できて利用できたら便利ではないですか?

MaaSとなった生活を想像してみよう。
みなさんはgoogleマップや交通系マップで目的地までの道のりや所要時間、料金などを調べることはよくありますよね?
例えば、自宅から目的地までの道のりを交通系マップで検索したところ、
自宅→「最寄駅まで徒歩10分」→「最寄駅」→「目的地の最寄駅」→「バスに10分乗車」→到着
と出たとしましょう。
現在では調べて終わりですが、MaaSが実現するとこれらにかかる料金支払いもすべてスマホ上で事前に完結することができるのです。
また現在ではタクシーもスマホから予約できます。
小さなお子さんがいるファミリー世帯では、「自宅から最寄駅まで10分」もかなりの重労働です。
あわせてタクシーの予約&支払いも済ませてしまうことだって可能です。
MaaS、やっぱり便利ではないですか?
MaaS先進国 フィンランドでWhim(ウィム)が本格スタート
ヨーロッパではMaaSの実験や取り組みが本格化されています。
特にフィンランドはMaaS先進国と言われており、Whim(ウィム)というサービスが正式運用されています。
フィンランドでスタートしたWhimは3つのプランから構成されています。
Whimの料金体系や内容を簡単に紹介します。
プラン名 | 料金体系 | サービス内容 |
Whim to Go | 月額無料 | 各種チケットをアプリ内で購入・決済可能。 |
Whim Urban | 月額49ユーロ (6,000円くらい) | 対象エリア内で公共交通機関は無制限に利用可能。 5kmまでは最大10ユーロでタクシーを利用可能。 1日49ユーロの固定料金でレンタカーを利用可能。 1回30分以内であれば無料でシティバイクを利用可能。 |
Whim Unlimited | 月額499ユーロ (60,000円くらい) | Whim to GoとWhim Urbanのサービス内容にプラスして、 レンタカーと5kmまでのタクシーの利用が無料。 |
Whim Unlimitedの利用者は非常に少ないようですが、システムや仕組みがもっと構築し、Whimユーザーが増えることで利用料金は下がる可能性もあるかもしれませんね。そうなればもっとサービスも向上し、最終的に日常的なツールになるのではないでしょうか。ただ、ユーザーにどうやってお得感を提供できるのかが課題とも思います。
日本でのWhimサービススタート(千葉県 柏市)
フィンランドでスタートした「Whim」ですが、2019年12月に千葉県 柏市 柏の葉で実験的にサービスがスタートしました。
柏の葉一帯の開発を担う三井不動産は、「柏の葉スマートシティ」というプロジェクトを推進しています。
柏の葉スマートシティプロジェクトは、以下の3つをテーマとして掲げています。
環境共生都市(この地球にどこまでもやさしい)
新産業創造都市(日本の新しい活力となる成長分野を育む)
健康長寿都市(すべての世代が健やかに、安心して暮らせる)
また、柏の葉スマートシティオンラインフォーラムでは「4つの主要課題」の1つ目に「モビリティ機能の強化」(スムーズな移動手段を整える)を掲げています。
柏の葉スマートシティオンラインフォーラムにおいても、モビリティに関する質問が数多くあがっていることがその証拠であり、もちろんWhimに関する質問もありました。
また柏の葉スマートシティオンラインフォーラムで、「日本ユニシス株式会社」がMaaSの成功例として、「滋賀県大津市での移動での取り組み」を発表していましたが、これは非常に興味深いところを感じました。
「滋賀県 大津市での移動に関する取り組み」とはどんなもの?
日本ユニシス株式会社、大津市、京阪ホールディングス株式会社、京阪バス株式会社が、大津市内および比叡山において行われたMaaS実証実験です。
大津市では「交通渋滞や交通事故の発生」、「公共交通の減便・廃止の進行」、「高齢者をはじめとする地域住民や観光客への対応」を地域の課題として抱えていました。
この課題を「自動運転シャトルバス、既存鉄道、バス」をシームレスに組み合わせ、定額化したMaaSアプリを提供する方法でアプローチをしました。公共交通機関のユーザーが増加することで減便・廃止の進行は抑制されますし、公共交通の利便性が向上されればマイカー利用は減り、これにより交通事故(特に高齢者)の減少にもつながります。
MaaS実験の具体的内容ですが、例えば移動先のお店に行く際、その移動手段(=新しい公共交通機関)を利用する生活者にクーポンを配布するというものでした。この実験では一定の経済効果も見られ、そして移動に対する新たな価値も加わることとなりました。
私個人としても、この大津市でのMaaS実証実験のお話はとても興味深いものがありました。柏の葉スマートシティプロジェクトでは「生活者の意思」を地域事業が受け取り、生活者にアドバイスやサービスを提供するというサイクルを築き上げることを理想としています。
さいごに
すでにMaaSについてはニュースで多く取り上げられてきています。ただ一般に認知されているかといえば、恐らくまだそこまで認知はされてきていないと思います。
またMaaSの盛り上がりは今が最盛期で、この後は下降するだろうと言う方もいます。ただそこでも言われているのが「自動運転化が始まると再び盛り上がるのではないか?」という点で、私も自動車の自動運転化は大きな転換期と考えています。
完全自動運転化となれば、MaaSアプリで自動車を予約し、予約した自動車は予約した時間に自動的に自宅前まで来ます。そして自動運転で目的地まで辿りつけるのです。
法整備の観点では難しいところもありますが、完全自動運転化はあと数年で必ず来ると思います。これにより人々は働き方を変えざるを得なくなりますが、消費者のニーズに答えなくてはいけないのでそこはしょうがないところです。(自動車メーカーは良いですが、ディーラーや中古車販売はどうなるのか。それと自動車事故は確実に減るので保険会社も考えどころですね。)
そして個人情報漏えい問題、絶対についてくるでしょう。
MaaSの実現は経済的にも大きな転換期になると思いますが、実現には様々な問題を解消していく必要があり、今後も目が離せないワードです。
今回はMaaSについて書きましたが、みなさんはどう思いましたか?
ここまで読んでいただきどうもありがとうございました。
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